やっぱり場違いだっただろうか。

最後尾でそう思いながら辺りをキョロキョロ見ていた。


「あっ、ドリンク買ってこよう」


そう呟いた時、ステージにライトが当たった。


キャーという黄色い歓声が上がり、ラズベリースターが登場した。

桜井零士の低音で少しかすれた声が一瞬にして私の鼓動を掴んだ。


「すごいっ」


零士は闇と光の両方を持ち合わせた人。

鋭い瞳と歌声がスポットライトを操るようにその世界観を描いていく。

淡い色から蛍光色まで、きらめくフラッシュ。


そこに大和のドラムの音が心臓を鳴らすように打ち重なり、留衣のベースが呼吸を刻んでいく。

大和の一心不乱な姿と留衣のなびく深緑色の髪も魅力的だった。


体が打ち崩れそうな、瞬きの間にいくつもの夢を見た。

分かち合った時間はここにいるラズベリースターのメンバーとファンだけの宝物。