───三日後。またその金髪さんが現れた。
一重の鋭い眼差し。高い鼻。淡白な唇。
右耳にはピアスが五つ。
以前と同じようにギターケースを背負っていて、ミント系のガムを買い、二円を募金箱へ入れた。
私はその人の去っていく後ろ姿を見つめていた。
身長は一八五センチくらいだろうか。
そんなふうに思っている時、発見した。ギターケースの後ろに『ラズベリースター』と書いてあるのを。
バイトの休憩時間にケータイで検索してみた。
すると、動画サイトにライブの様子がアップされていた。
動画を再生してみる。
弾けそうなほどのロックバンド。
今までロックって私にとってはただうるさいだけの騒音だったけど、ラズベリースターは違った。
この体という傷口に炭酸が染み渡り、血管を流れ落ちていくようなそんな気持ちになった。
それは痛みではなく、紛れもない快楽。
ラズベリースターのサイトもあった。まだそんなに売れている様子ではないけど、定期的にライブをおこなっているようだった。
あのガムを買っていく人はラズベリースターのボーカル兼ギター、桜井零士(さくらいれいじ)。十九歳。
他にはドラムの工藤大和、ベースの宮本留衣がいた。
三人は高校で知り合い、バンドを結成したらしい。