それでもコンビニのバイトだけは根気よく続けた。
ある日の午後、金髪でギターケースを背負った二十歳くらいの男性がミント系のガムをひとつ、レジへ持ってきた。
「このままでいいです」
「ありがとうございます」
私はガムに店のシールを貼った。
その人は百円玉を出し、ガムを受け取ると、二円のおつりを募金箱へ入れて去っていった。
私の苦手な金髪さん。
でもその行為に惹かれてしまった。
募金をしていく人は他にもいるのに。
淡々と過ぎていく日常になにかをもたしてくれた。
でも、これは興味という一過性のものかもしれない。
それにまたその人がやって来るとは限らない。
そう思うとコンビニ店員とお客さんの出会いなんて実に呆気ないものだ。
出会ったのに、たった一度だけの人。
何度も顔を合わせ、世間話をしていても相手が引っ越してしまえばそれまで。
二度と会う事はないだろう。
そう思うと無性に寂しくなった。