多摩川の土手で泣いた。
伸びる影はただひとつだけ。
隣に天野くんがいない。
対岸に見える羽田空港の飛行機が涙に拍車をかけた。
お金があったら私もアメリカへ行けるのに。
でも行った所で天野くんの居場所を探し当てられるはずがない。
お金がなくて行けないのは、きっと私のためなんだ。
無駄な時間と労力をかけなくてすむように。それに私、日本語しか喋れないし。
そんな言い訳を自分自身にして諦めようとしてみたけど諦められなくて。
色々な事を考えれば考える程、涙が溢れてきた。
私にとってアメリカは宇宙よりも遠い。打ち上げた衛星が宇宙の彼方に消えてしまった。
悪い事が起こるなら前もって教えてほしい。そもそも良くも悪くもなにかしらの予感を察知するアンテナが私には立っていない。