赤い電車に乗る。
天野くんと二人で並んで座っていた光景が蘇ってくる。
緊張しているのになんだか安心して眠っちゃって、天野くんに『梨織、着いたぞ』って起こされたんだ。
『昨日、俺の部屋じゃ眠れなかった?』って心配してくれた。
『なんかあったら夜中でもいいから言えよな』って。
駅から天野くんの家に向かって歩く。
途中でスーパーに寄ったよね。
さり気なく手を伸ばし、買い物カゴを持ってくれた天野くん。
英語のプリントの裏に買う物が書いてあって。
『それ、英語のプリントだろ』
『そうだよ。授業中、暇だったから』
『暇だったからじゃねーよ。そのプリント、今日中に提出するやつだぞ』
『うっそ……。留年とか嫌だよ、私』
そんな会話したよね。
それでその夜『よし、俺が教えてあげましょう』って教えてくれた。