ひとりで入るのは躊躇してしまうような高いブランドの服屋さんでも、ルミと一緒なら入る事ができた。
お互いがお互いに似合いそうな服を選んで、鏡の前で合わせてみる。
ちょっと気取ってポーズを決めてみたりして。
ルミと私の『勝手にファッションショー』開催。
店員さんも女子の服に対する好奇心や憧れを感じているのか、寄ってこなかった。
そうじゃないかも。
どうせ買えないと思って『すごくお似合いですよ』とか『これ、入荷したばかりなんです』なんていう営業トークをしてこないのかもしれない。
なんにしろ、美意識が高まる。
それなりの値段がする服は縫製が丁寧で、シルエットも綺麗だし、素材感も違った。
ボタンも凝っている。
実は裁縫が好きな私。
中学の家庭科は五段階で五だった。授業でスカートを縫った時は先生に褒められた。自己流なのに。
あの時は本当に嬉しかった。
得意とするものを褒められる、ってすごく嬉しい。
私、将来、デザイナーになりたい。そんな夢を育むように見ていた。
ルミのお兄さんの子供、つまりルミの甥っ子ちゃんの五歳の誕生日に半ズボンを縫ってあげた事もある。
甥っ子ちゃんは画用紙に『ありがとう』という言葉と花の絵を描いて私にくれた。今でも大切にとってある。
『勝手にファッションショー』の後、ルミと抹茶パフェを食べた。
スタイリッシュだけど、とこか馴染みのある和の空間が魅力のカフェ。
女性客ばかりだ。女性はこういう所に癒しを求めているのだろう。
抹茶アイスとソフトクリーム。白玉のもちもちとした食感。
スプーンですくう度に新しいおいしさに出会え、苦味の中に感じる甘味に癒された。
ルミと一日中、笑っていた。