「凛ちゃんありがとう。
もしなんかされそうになっても、
俺が守るから!」

そう言われ、やっぱ無理と思う。

好きじゃないのに彼女のふりは、
なんとかなるけど、
逆上されたらどうしよう。

そんな事考えてもなかった。

その不安が優くんにわかったのか、
もう一度、大丈夫?と聞いてきた。

あたしは、うん。と頷き車を降りた。

嘘が嫌いなあたしは今から嘘をつく。

ちゃんと嘘がつけるのかわからない。

なんであたしが?そう思うよりも、
その子が諦めてくれたらいいな。
そう思っていた。
多分、苦しい思いしてるはずだから。
その女の子も好きで、
そんなことしてるわけじゃないはず。

だけど不安は顔に出てしまう。

硬い表情のあたしに気付き、
優くんは手を差し出す。

あたしはその手を静かにとり、
2人で中に入っていった。

この時、本当はものすごく怖かった。
刺されたらどうしよう。
飲み物かけられたらどうしよう。
なんて思ってたっけ。
ドラマの見過ぎ?
だけど現実は
恐怖じゃなく悲しみが大きかった。