お店に着き降りようとするあたしに、

「凛ちゃんお願いがあるんだけど。」

エンジンをかけたまま優くんが言った。

顔を見ると明らかに困っている。

お金ないのかな?
ぐらいにしか思ってなかったあたしは、
何?と聞いてしまった。

「嫌だって言わないで聞いて?
この店に入ったら、
俺の彼女のふりしてくれない?」

想像もしてなかったお願いだった。

なんで?
驚いたあたしはそれしか言わなかった。

いや、それ以外の言葉なんてないか。

そう言ったあたしを、
自分の方に向かせ、淡々と話しはじめた。
話してる間ずっと困った顔をしていた。

わかった。そう言うしかなかった。