あの時、
逆上されたらいけないと思ったあたしは、
言葉を慎重に選び、
ものすごく傷ついてるふりをした。

傷ついたのは本当だったけど、
あの時のあたしはふりをしてたの。
嘘をつき、
あなたを騙し別れてくれと、ただ願った。

好きだった頃の記憶を必死で思い出し、
あの頃は大好きだったと何度も言い、
変わってしまったあたしの思いを、
切ない顔をして伝えた。

穏便に別れたくて必死に演技した。

どんな形でも、
穏便に別れられれば良かった。

だから、
1年経ってもシコリがあるのかな。
嘘をつき、演技をして別れたから。

ちゃんと向き合い嘘をつかずに、
別れていたら良かったのかな。

あの時違う道を選んでいたら、
もっと人を信じられたのかな。

でもきっと、
あたしはまた同じ道を選ぶんだろうな。

安全な道を探し、
怖いふりをし、歩いて行くんだと思う。

これからもずっと。

どんな別れ道に出会っても。