声を出して泣きながら、
優〜と何度も呼んでいた。
凜〜って聞こえる気がして
泣きながら呼んでいた。
返事が返ってくることは、
もう二度とないのに、
何度も何度も呼んでいた。
気付いたら深夜になっていた。
あれから、
何時間経ったのかわからないけど、
胸の痛みは増すばかりで、
涙も流れ続けていた。
あたしは、1枚の紙と紙袋3個を持ち、
サングラスをかけ、外に出た。
午前3時に、袋を3つ持ち、
サングラスをかけてエレベーターに乗り、鏡に映っている自分に驚いてしまった。
誰かに見られたら、
不審者だと思われると思い、
急いで優のマンションまで走った。
走ってる自分に少し可笑しくなった。
優のマンションに着くと、
静かに部屋の前まで行った。
ドアの前に紙袋を置き、
その上に紙を1枚置いた。
〈荷物置いておきます。
あたしの物は捨てるか、
同じ様にあたしの部屋のドアの前に、
置いといて下さい。凜〉
部屋の前まで来て帰った事なんて、
今まで一度もなかった。
いつも合い鍵で入っていたな。
あ。鍵も返さなければ。
意外と冷静な自分に驚いた。
キーケースから、
優のマンションの鍵を外し、
荷物の下に入れた。