「おじゃまします。
凜マジでごめん。俺の話聞いて?」

部屋に入ってすぐ謝らないで。

「なんのごめんなの?
さっき全部話したんじゃなかった?
嘘ついてたの?
優は嘘つかないよね?
あたしには、嘘つかないんだよね?」

もう帰って。
あたしの言葉に気付いて。
これ以上言いたくないよ。

「凜、、、。」

お願い。謝らないで。お願いします。

「本当に、ごめんなさい。
嘘はついてない。って言いたいけど、
嘘ついてた事になっちゃうよね。」

ダメだ。壊れてしまう。

「は?何それ?言い訳しにきたの?」

落ち着いて、あたし。

「いや、違う。言い訳なんてしない。
凛は俺の言う事と、高城さんが言った事、
どっちを信じる?」

プチンと何かが弾けた。

「高城さんの話を聞いた時、
正直自分の事じゃない様な感覚に陥った。
え?優が?
抱いたの?嘘でしょ?間違いでしょ?
そう思って聞いてたけど、
最後まで聞いて一度、整理してみたの。
そしたら優より、
高城さんの話の方を信じちゃってた。

高城さん、
多少嘘ついてるかもしれないけど、
飲みに行ったのも、キスしたのも、
抱いたのも事実でしょ?
覚えてないってありえる?
優はあたしがそう言っても信じられる?

あたしは無理。
優だから、無理なの。
だって信じてたんだもん。

疑う事もなく、幸せだったもん。
裏切らないって言ったのに。
嘘つかないって言ったのに。」

あたしの何かが弾けた瞬間、
優の近くまで行って、
睨む事なく、泣く事もなく、
ただ淡々と話すあたしを、
苦しそうな表情をして見ていた。