「あたしね?
素直な優くんが羨ましい。
本当に嬉しい。
そんなに想ってくれてありがとう。」

恥ずかしくて笑いながら言うあたしを、

大好きだよ。
と何度も言いながら抱きしめてきた。

抱きしめられて、安心した。

けど、あたしはズルい。
好きだと言ってない。
わからないからって言い訳をして、
無償の愛だけもらってる。

この人を信じてみる。
あたしも素直になってみたい。
愛してみたい。
この優しくて温かい気持ちを、
優くんにも伝えてあげたい。

あたしはもう優くんが好きなんだよ。

そう思ったのに、
自分の気持ちについていけなくて、
何も言えなかった。

きっと優くんは不安だったよね?
本当に彼女なの?
俺の事好きなの?
何度もそう思ったに違いない。


あたし達は、
抱き合ったまま色々な話をした。

話をしていても恥ずかしくなる。

趣味は何かと聞けば、
凛ちゃんとメールする事だと言い、
俺は毎日が凛ちゃんばかりだと言う。

過去の恋愛話もしてみたが、
聞いていたこっちが苦しくなる。

あたしはもう傷付けない。
そう思い優くんの手を握る。
けど、
本当に傷付けない事なんてできるの?
そう思い手を離す。

それに気付いたのか、
離れないでいてくれたらそれだけでいい。
そう言ってあたしの手を握り締めた。