優くんに後ろから抱きしめられたまま、
話そうと思ったけど、
あたしは掴んでいた手を離し、
優くんの方を向いた。

抱きしめられたままだと話せないので、
そっと優くんから離れ大きく息をはいた。

「優くん。あたしね?
本当に自分が嫌なの。
自分の気持ちもわからない。
平気で嘘をつき笑えるの。
そして、平気で傷付ける。

逃げてばかりで、
人と向き合わないくせに
男は、って言って皆、同じだと思ってた。
いや、同じだと思って、
自分が傷付かない様にしてただけなの。

優くんに出会って、
好きだと言われて嬉しくなかったのは、
見た目だけで、
好きだと言われたと思ったから。
何がわかるの?って。
高校生の頃の話も信じてなかった。
後からじゃなんとでも言えるから。

けど、結衣から本当だと聞いた時、
疑った自分が嫌になった。

あんな事しちゃった自分にうんざりした。


優くんとのメールも、
はじめは忙しいって嘘ついてた。

あたしの事諦めてって思ってた。
なのに、
知らぬ間にメールを必ず返してた。
楽しかった。
今日も会えるの楽しみにしてた。

あたしね?
抱きしめられて、ドキドキした。
さっき、車で抱きしめられた時も。
好きだと言われる度に、ドキドキしてた。
わかってたのに、もう一度してもらった。
確認じゃないけど、自分と向き合う為に。
優くんを信じてみたい。」

ここまで言うと、
優くんはあたしを抱きしめた。
ものすごく強く。痛いほど。