聞かなければ良かった。
傷付けて嫌われようと思ってたけど、
これ以上傷付けられるのかな。
嫌われようじゃなく諦めてもらおう。
ズルいあたしはそう思った。
メールを返す事なく、
優くんのマンションの前で下を向いた。
空を見たらあたしだとバレしまう。
足早に通り過ぎた頃、
【着いたかな?
真面目に答えてごめん。
俺、やっぱり言わないの無理。
凛ちゃん大好きだよ。】
《言わないって言ったじゃん。嘘つき。
あたしは好きでも嫌いでもないよ。
なんの興味もありません。》
諦めろと思いながらも言葉を選ぶ。
【嫌いじゃないなら、
好きになってもらえるかも、
知れないじゃん!】
いや、違うよ。
興味ないって事は、嫌い以下だよ。
《あはは。頑張れ!もー寝ます。》
まだエレベーターだけどね。
【頑張るから覚悟してね!
大好きだよー。おやすみ。】
いったいどうしたらいーのか。
そう思いながら部屋の鍵を開けた。