「じゃあ抱きしめてキスしてよ。」

何故こんな事言ったのか。

何が正解なのか、
正解なんてないのかと、
わからなくなったあたしは、
あ。軽い女の振りしてみよう。
そう思った。

こんな事言われたら嫌でしょ?
ずっと気になってたなら尚更。


そう言った後優くんを見ると、
何も言わず下を向いていた。

もっと嫌いになれと思ったあたしは、
優くんの顔を覗き込んだ。

「凛ちゃん、、、。」

何かを言われる前に、
あたしから優くんにキスをした。

体を引いてる優くんの頭に腕を回し、
舌を入れる。

「ちょ、凛ちゃん、、、。」

そう言われても止めずに舌を絡める。

優くんが抱きしめてきたと同時に、
あたしは唇を離した。

「優くん、
あたしは好きでもない人にキスも出来る。エッチだって出来る。そういう女なの。」

そう言ったと同時に、
今度は優くんが軽くキスをする。

「好きじゃなくてもいい。
俺はそれでも幸せ。
でも、こんな事しないで?
無理しないで。
ちゃんとこっち見て?俺を見て。」

そう言うとあたしを強く抱きしめた。

見れるわけない。
下を向いているあたしの顎を持って、
上を向かす。
真っ直ぐな目を見る事が出来ない。
下を向くあたしに、

「ごめん、もう一度だけこっち見て?」

そう言われあたしは、
優くんを見ないでまたキスをした。

さっきとは違い、
クチュクチュ音をたて、
吐息まで漏れている。

何してるのあたしは。
なんで本気のキスしてるの?
嫌われたいからってなんなのこれ。

男をその気にさせたのはあたし。
好きにしていいから、
めちゃくちゃにしていいから、
一回抱いていいから諦めて。
キスしながら、そう思っていた。
最低な考えだよね。

でもね?
男ってそんなもんでしょ?
一回すればそれでいいでしょ?

それで嫌いになってください。
こんな軽い女だったのかと、そう思って。