「ごちそうさまでした〜!」

「また来てね凛ちゃん!」

「はい。とても美味しかったです。
また連れてきてもらいます。」

「優をよろしくね。
不器用だけど真っ直ぐな男だから。」

そう言ったオーナーさんに、
笑顔で頭を下げる。

最後まであたしはこの人を、
いや、ここのお店の人達を、
騙してしまった。

もう二度と来ることはないと思った。
来ることは出来ないのか。

優くんの手を取り、
見送るオーナーさん達に、
もう一度会釈し車の方に歩き出した。



きっとこの時あたしは今までにない位、
力いっぱい、
あなたの手を握っていたでしょう。

こんなことをする優くんが
わからなかった。
ご飯食べてる時も女の子数人が、
久しぶり〜彼女?と聞いてきてた。
その度、食べてる手を止め、
頭を下げて笑顔を作っていた。
絶対女友達いるでしょ?

あたしじゃなくても良かったでしょ?
なのに、なんであたしなの?
あたしを知ってたのに、
なんで高校生ぶりと嘘をついたの?
何故?