「ごめんなさい。」

「やめて?あたしに謝る事ないよ。
何もされてないよ。
優くんが悪いんじゃないかな?
って、あたしの方こそ、
偉そうに言っちゃってごめんね。」

首を横に振る日菜子ちゃんが、
さっきとは違う顔に見えた。



「凛ちゃん大丈夫?」

大きな声すぎて、
驚くあたしと日菜子ちゃん。

「何が?」しらばっくれるあたし。

「何って。
日菜子ちゃんなんかした?
いや、ごめん。」

わけのわからないごめんはいりません。

「何もしてない!
だから、
優くんちゃんと、
日菜子ちゃんに自分で気持ち言いなよ。
日菜子ちゃんも、
ずっと苦しい思いしてたのを、
伝えてみなよ。
メールや電話なんかより、
よっぽど伝わるよ?」

そう言い席に戻ろうとすると、
優くんに手を持たれる。

「凛ちゃん隣にいて!」

いや、これ以上無理。

「これは2人の問題でしょ?」

そう言うと同時に、
反対側の手を日菜子ちゃんがつかんだ。

「ちょっと、なんなの?」

右手には優くん。
左手には日菜子ちゃん。

離さない2人が同じ顔をしていた。

これ以上あたしは嘘つきたくないよ。