「すいません。お手洗い借ります。」

理解出来ないあたしは、
トイレに逃げ込もうとした。
いや、逃げるというか、
とりあえず冷静になる為に席を立つ。

「トイレこっちだから。」

そう言い優くんも席をたつ。

「意味わかんないよ。
笑えないよ。なんなの?」

小声だけど優くんを睨みつける。

「マジでごめん。後で話す。」

そう言いあたしの手を掴む。

「触んないで!」

そう手を振り払った時、
さっきの女の子とすれ違った。

「今の子でしょ?
すごい可愛いじゃん。何がダメなの?」

「トイレそこだから!」

あたしの問いに答えることなく、
ぶっきらぼうに言い席に戻っていった。

いや、怒りたいのはあたしです。
嘘ばかりつき、
あたしが知らないあたしを知ってる?
そんな感じに陥り、怖くなる。


あたしがあそこの道をよく通る事を、
知ってたって事だよね?
あたしは、
さっき初めて優くんの家を知った。
あの道をあなたと歩いたのは、
ついさっきだよね?
わけわかんない。
このまま帰ってしまう?
いや、でものってしまったのはあたし。
最後まで付き合わなきゃ。

そう思い気合いをいれトイレを出ると、
さっきの女の子が立っていた。