だけど、アルテミアのすべての攻撃は、アマテラスに当たらない。

「勘違いしないでよ」

アルテミアの何度も繰りだされる拳を、アマテラスは片手で受けとめた。

「くそ!」

力を込めたが、アマテラスはびくともしない。

アマテラスは、ため息をつくと、

「あのねえ。あたしが示唆してあげたけど…」

今度は、クスッと笑い、

「殺したのは、人間よ」

「人間…?」

唖然とするアルテミアに、アマテラスは拳を掴んだまま、少し引き寄せ、耳元で話しだした。

「カードシステムをつくり出したティアナは、当時の最高機関、元老院とは別の組織をつくった…それが、安定者のもとよ。カードシステムを保持するには、大量の魔物を倒し、魔力を集めなければならない」

アルテミアは、掴まれている右手だけでなく、左手を出したが、それもアマテラスに掴まれた。

「もともと、ブラックカードとは無限に、ポイントと使える特権カードではなく…強い魔物を倒す為、強力な魔法を使う為に、できたもの!」

「それが、どうした!」

アルテミアは、アマテラスを睨み付ける。

「大有りよ!システムを守る為、安定者はつねに、危険な戦いを強いられていた。あんたの母親みたいに、物好きは少ない。何年も続く戦いの中で、普通の人間は疲れてくる」

「くそ!」

アルテミアは、動くことができない。力で、押さえられていた。