僕は、ガタガタと震えながらも、ピアスの声に頷いた。

「も、も、も」

恐怖の為、なかなか言えない。

「何だ?こいつ」

「何を、ブツブツ言ってやがる」

近づく鋭い牙。

「男なら、しゃきっとしろ!」

ピアスの怒声に、

「はい!」

僕は思わず、返事をすると、

「返事はいい!」

明らかに、ピアスは、イラついている。

「も、モード・チェンジ!」

僕は、何とか叫んだ。

指輪から漏れた光が、僕を包んだ。

「ヴィーナス、光臨って、遅いんじゃ!ボケ!」

アルテミアの怒りの手刀が、そして、蹴りが、

一瞬の内に、

狼男たちを、あの世に送る。

「こんな雑魚に、びびりやがって…。こっちは一回ゲームを終えて、レベルそのままで、最初の町からやり直してると、同じ感覚なんじゃ!」

アルテミアは苛立ちながら、広場の向こうを睨んだ。

強い殺気が、その辺りから放たれていた。

「いきなり…凄まじい力を感じ…誰かと思えば…懐かしい」

お菓子の木々が、なぎ倒された。

さっきの狼男の、3倍はあろうかという体躯。

片目は潰れ、

右手は、機械の義手。

「久々だな。ブロンドの悪魔」

アルテミアは腕を組むと、鼻で笑った。

「フン!お久しぶりね。負け犬さん」