「あははは!」

カレンがふっ飛ばされたのを見て、リオは腹を抱えて嬉しそうに笑った。


プールを突き破り、18メートルもの巨体を現したガンスロンは、腰の部分に当たる巨大なリングを回転させると、数メートル浮かび上がった。

ホバークラフトのように、上から吸い込んだ空気を、巨体の下に吹き込みことで浮力を得ているだけでなく、リングの回転力。

さらに、竜族の翼を背中につけることにより、ガンスロンは安定して、空中で止まることができているのだ。

しかし、巨体のそばでは、風が吹き荒れていた。

現れた瞬間は、グラウンドに軽く砂嵐が起きた。


九鬼は突風に目を細めながらも、ガンスロンに近づこうとした。


その時、ガンスロンが動いた。

「手始めに…世界に挨拶するのよ!」

リオの声に呼応して、ガンスロンの目が光ると、腰の上にあるミサイルポッドが開き、そこから無数のミサイルを発射した。



「な!」

ミサイルは無軌道に、ガンスロンを中心にして360度…あらゆる場所に被弾した。

大月学園の周りの建物が、爆発して破壊された。

まるで、一斉に花火が上がったように、結界内に火花が爆音とともに上がった。

「な!」

ミサイルの一発は、大月学園内にも落ちた。

幸いにも校舎には、当たらなかったが、グラウンドと中庭の境に被弾し、走っていた九鬼は爆風に巻き込まれた。

グラウンドを少し転がったが、乙女ブラックになっていた為、大したダメージは受けなかった。


「な、なんてことを…」

回転し、立ち上がった九鬼は、周りで数え切れない程の煙が上がっているのを確認し、愕然とした。



「心配することはないさ」

九鬼の後ろから、声がした。

「な、何いい!」

九鬼はその声の主を知っていた。拳を握り締め、九鬼は振り返った。

「貴様らは、人を守るのが、仕事だろうが!」


「そうだ」

九鬼の後ろに、哲也が立っていた。

「我々は、その為に…存在している」