「チッ」

輪廻は舌打ちすると、すぐにクレアから離れた。

「このドレスは、人間どもの愛という欲望でできた血で、染められている!そんなもので、貫けるようか!」

クレアもジャンプし、間合いを詰めると、振り返りざまに、回し蹴りを輪廻に食らわす。

右腕で防御したが、輪廻の耳に、骨が砕ける音が聞こえた。痛みに顔をしかめる輪廻に、クレアは空中で浮かびながら、何度も蹴りをたたき込む。

「踊れ!死者への舞を!」

クレアは、重力を無視するかのように、球を描くように回転し、輪廻の全身を蹴りまくる。

その度に、骨が砕ける。

「いい音…」

うっとりとした表情を浮かべた後、クレアはドロップキックを輪廻の腹に、ねじ込むようにたたき込んだ。

吹っ飛ぶ輪廻。



「さよなら…女神」

クレアは床に着地すると、口元を緩めた。

「骨を砕いただけだから…血は出でいないわね」

微笑むながら、ゆっくりと体育館の端まで飛ばされて、床に転がる輪廻に近づいていく。


そして、輪廻のそばまで来た時、顔色が変わった。


「何?」

顔をしかめて、クレアは誰かと話し始めた。

「サトリが……もう1人の女のもとに?」

少し考え込むと、 

「すると…こいつは、女神じゃないのか?」

どうやら、テレパシーで通信しているらしい。

訝しげに、転がる輪廻を見ようとした時、

輪廻は転がり、クレアのドレスの裾を捲り、中に入った。

そして……。

「うぎゃああ!」

クレアは絶叫した。

輪廻はそのまま、また転がり、少し離れたところで立ち上がった。

手には、硬化したネクタイを持っていた。その先は、血をついていた。

「き、貴様!何て場所を!」

クレアは、股を押さえた。

「そこは、ドレスが守ってくれないだろ?」

ネクタイを構えた輪廻は、無傷であった。

「あ、あたしの体に!」

クレアは両手を突き出し、そこから気を放った。

輪廻は一歩も動かずに、気を受けとめる。

輪廻の肩が、足が破裂した。

しかし、数秒後…もとに戻っていた。