思わず見とれる直樹。

その視線に気づいて、香里奈は、直樹の方を向いた。

「何?」


少し直樹を睨む香里奈。

さっきは綺麗な女の子と、思ったけど…

撤回…。

やっぱり男の子みたいだ。

「えっ…」

口ごもる直樹に、香里奈は近づき、ジロと見た。

「あんた…この辺の子じゃないわね。どこの子?」

直樹は少し怯えながら、駅の向こうを指差す。

直樹の指の方向を、香里奈は見て、フンフンと頷いた。

えらそうだ。

「駅の向こうって、大路の方ね」

香里奈は歩きだし、次はすべり台に向かう。

「向こうにも公園あるのに、何でここにいるのよ」

香里奈は下から、すべり台を駆け上がる。そして、そのまま駈け下りる。

「危ない!」

思わず叫ぶ直樹。

一瞬にして下り終え、
香里奈はまた、直樹の前に来る。

「あのさあ…子供の頃からやってるから、大丈夫なの」

腕を組んで、直樹を睨む香里奈に、

直樹はどこか、おかしさを感じ、笑ってしまう。

大人びているけど、まだ子供だ。

馬鹿にされていると感じ、香里奈が詰め寄る。

「何よ!何がおかしいのよ!」