「どうかしました?」

少し怯えている直樹に、優は微笑みながら、きいた。

「別に…何でもないよ」

直樹は、何とか平静を保とうと、

軽く息をして、呼吸を整えた。

そんな直樹を、愛しそうに見つめる優。



「飯田さんは…自由って知ってますか?」

「自由…?」

思いもよらない質問に、直樹は、優の顔を見つめた。

優はにこっと笑い、

「はい。自由です」

「そりぁ…知ってい…」

「今。飯田さんは、自由ですか?」

さらに、一歩近づいた…
優の瞳が妖しく、直樹をとらえた。

直樹は息を飲む。

「人を…愛することは」

優は、直樹の目しか見ない。

「不自由です」

「不自由…」

「はい…今の飯田さんは、とっても…不自由に感じます。どれだけ愛しても…愛されない不安と…怖れた…」

優は、直樹の目の前に立った。

「愛するという不自由…の中…」

優は、直樹の手の甲に触れた。

「苦しんでるのが、わかります」

直樹は、言葉がでない。

「き、きみは…」

「でも…自由になれます。それは、愛するより…愛されることで…」

優は、直樹の手を握った。