昼休み。

いつもの屋上で、

フェンスにもたれ、里緒菜は考え込んでいた。

目の前には、

香里奈と直樹、

祥子に、恵美がいた。

「どうしたのか?」

里緒菜の隣に、和也がもたれかった。

「何か悩んでるみたいだけど…」

「別に…」



「なら、いいんだが…」

和也は、里緒菜の横顔を見つめた。

「あ、あたしって…」

里緒菜は、和也の方を向いた。


「悩んでるように見える?」

「ま、まあな…」

里緒菜はまた考え込み…

「この前の…」

「この前の…何?」

和也は視線を、

直樹達に向けた。

楽しそうだ。

「あたしの演技…どうだった…?」

「演劇部の?」

里緒菜は頷いた。

「よかったよ。心がこもっていて、うまく演じていたと思う」

和也の言葉に、

里緒菜はまた、頷いた。

「そうよね…あれは、演技よ…。それなのに…」

あの女は…


多分


見抜いていた。


あのセリフたちの意味を。


わかるはずのない気持ちを…


それを感じられるということは…


あの女は…。