悪意だ…

この男は、悪意で満ち溢れている。

ゆうは、淳に危険なものを感じていた。

「今は塾がメインで、学校なんて…息抜きに来てるようなもんですよ」

(こんな男が教師…)

ゆうは、淳を見つめた。

「暇で仕方ないから…いじめるんですよ。いじめぐらいしかやることがない」

ゆうは、淳に一歩近づき、

「世間では…自殺する者もいるんだ。尊い命が、失われるんですよ」

「尊い…弱い奴は死んでいく…。自然の淘汰ですよ。今の世界、人間は増えすぎている。死ぬしか選択できないなら…死んだらいい」

「あんたは…教師なのか…」

ゆうは、目を見開き、淳を睨んだ。信じられなかった。

そんなゆうの言葉に、淳は大笑いする。

「教師ですよ!おかしいですか?」

「我々は、生徒を」

「先生になる試験に!生徒の為…なんて、ありましたか?」

淳は笑いながら、

「ただ成績が、よければ…いいだけだ。教え方なんて、学ばない」

ゆうは絶句した。

「ただ機械的に、成績がいいだけで…先生になった者が、何を教えられます。何もあるはずがない」

淳は、ゆうの耳に口を近づき、

呟いた。

「うわさが…広がってますよ…牧村先生の」

淳は、口元をわざわざ隠し、

「奥さんのこと…」

淳はうれしそうだった。