脇腹を上着で隠し、

何とか立ち上がろうとするが、痛みで動けない。

顔をしかめて、呻いていると、

「啓介さん…」

大輔が、ステージから降りてきた。

他のメンバーもいる。

「あのお…演奏は…」

大輔たちは、啓介の状態に気づいていない。

啓介は笑顔を見せ、

「終わりだ…」

少し立ち上がった。

決して、表情に出さない。

それにステージ袖は、電気がついてなく、暗かった。

下に落ちている血痕も、見えないはずだ。

「啓介さん?」

様子が、おかしいと気づいて、近づこうとする大輔を、

啓介は制した。

「お前たちは!いくところがあるだろ」

大輔は驚き、

「俺たちは」

「LikeLoveYouは、もうないんだよ」

啓介は、大輔を見た。

「啓介さん…」

悲しく微笑む啓介の姿に、大輔は足を止め、

顔をしかめると、

涙を流した。

「失礼します」

深々と頭を下げると、大輔は通路に向かう。

他のメンバーも、次々に頭を下げ、消えていく。



全員が、いなくなった時、

啓介は壁にもたれ、

そのまま崩れ落ちた。

「明日香…」

そう呟いて。