「すごいことに、なってるぞ」

一般の出口から、出た香里奈たちは、会場を振り返った。

逃げ出す人々は少なく、

ほとんどが、会場で暴れている。

「あの音を聴いて、おかしくなってるんだ。仕方がない」

和也は、少しかかった粉を払う。

遠くから、サイレンの音が聞こえてきた。

「警察か…行くぞ」

和也と直樹は、地下鉄の階段向かって走ろうとする。


「速水さん…」

香里奈は足を止め、会場を見上げていた。

「速水さん!」

直樹が叫ぶ。

「急げ!」



直樹は、香里奈に走り寄り、再び手を取った。

香里奈は、会場を振り返りながら、走り出す。

地下鉄の階段を、降りきった頃、

サイレンは、近くで止まった。

警察が着いたのだ。

香里奈たちは、改札を通った。

その場を離れる為に。