全力で、タブルケイに走って帰った香里奈は、

そのまま二階に上がった。

「おかえり」

仕込みをしていた里美の前を、疾風のように走り過ぎた香里奈。

里美は、首を捻った。

気になったが、仕込みから目が離せない。

「何かあったのかしら…」

つけていたラジオから、臨時ニュースが流れた。

「今日未明…アメリカから帰国した歌手の天城志乃さん…20歳が、空港内で行方不明になりました。その為、本日予定していたコンサートは、急きょキャンセルされることになりました。関係者が語ることには…」

里美は、眉をひそめた。

「行方不明…?」



いきなり、

店の扉が開いた。

「すいません。速水さんいますか?」

入ってきたのは、直樹だった。