日本に着いた志乃たちは、ティアとジャックたちとともにいた。

空港の雑踏の中、

志乃は、人混みに紛れることに、成功した。

ライブが終わってから、飛行機に乗って降りるまで、しばらく時間があった。

KKの音の呪縛から、少し逃れることができた。

無理なライブを、重ねたことにより、

ボロボロになった体の痛みが、正気に戻していた。



志乃が、いなくなったという報告は、

ティアとジャックのもとに、すぐ届いた。

「何!?」

驚くジャックとは逆に、

涼しい顔のティア。


「どうする?」

ジャックは、ティアを見た。

ティアは鼻で笑い、

「別にいいじゃない」

「だけど、ボーカルはいるだろ」

「あんな壊れかけの人形…別にいらないわ」

ティアは、そのまま歩きだす。

ジャックはため息をつくと、

「やれやれ…」

何とかなるかと、自分を納得させ、歩き出した。