屋上に出ると風が冷たく、もう秋だと思わせるほど強かった
「わっ!結構風冷たいね。」
「俺はこれぐらいが好きー。」
颯はセーターの袖を伸ばし手を隠した
颯の家は昔から伝統のある由緒正しい家で、最近 親戚で何やら揉めてるらしい…
「そーいえば、颯のお母さん元気?前遊びに行った時居なかったけど…」
「え?何?楓また1人で俺の家来たの?」
颯の家に1人で行くと、決まって颯のお母さんが手作りのご飯をご馳走してくれるのだ!
「おふくろの味が恋しくなってね!」
なーんて。本当は自分のお母さんのご飯なんて食べたことないけど
「……」
颯は袖をぎゅっと握り表情を濁らせた
もしかして…怒らせた?
「え?ごめん、そんな怒んないで。」
私が慌てて謝ると、少しして颯はため息をついた
「あのなぁ俺ん家に来る時は俺に言えって。」
本当危ないから…
「何が危ないって?」
私はちょこっと首を傾げる
「なんでもないよ。」
颯はそう言って私の髪をくしゃっと撫でた
…?
「まあ、おふくろは…元気すぎるかな?」