「ごめん」




事が終わり、タバコを貰って火をつけた時だった。


あの金髪が急にしおらしくなった。


「何が」


「いや・・・そんなつもりじゃなかったなんて言えねえけどさ」


さっきとは全く様子が違う。

罪悪感でも感じたのだろうか。
それならば好都合だ。



「なんか・・・教室で殴ったときはムカつく男だろうとか思ってて、女ってわかってもそんな風に見えねえから、裸の写真でも撮って脅してやろうとか考えてたんだけど・・・急に変わったんだよ」


「は?」


「お前が殺すとか言ってタバコ吸ったとき・・・すげえ女に見えた。色気っつーか、格好は学ランなのに・・・初めて理性失うってのがどーいうことか実感した」



「・・・どーも」



女としては最高の褒め言葉かもしれない。

だが、男としては最悪だ。


「俺、言わねえよ」


金髪が身を乗り出して俺の肩をガッシリつかんだ。

金髪の目は決心していた。

好都合だ。

金髪の目はどちらかと言うと忠誠心の色が混じっている。間違いない。

更に同情を加えれば口が硬くなるだろう。


俺には少しのミスも許されない駆け引き。