パタンッ



教室の扉が静かに閉じられた。


誰もいない多目的室。


金髪と俺の二人きり。



今から何が起こるかなんて安易に想像できるが防ぐことなどできない。


いや


防ぐことなど許されない




「で?この学校に好きな奴いるとか?」



金髪は机の上に座りタバコに火をつけた。


「そんなものいない」

「じゃあ何?欲求不満なわけ?」



バカにしたような笑い方。

鼻につくタバコの臭い



この学校はダメだ。

すべての音が
すべての臭いが
すべての景色が


あたしをグチャグチャにする。








「あえて言うなら、ある男を殺しに来たんだよ」




予想外の答えだったのか、金髪の動きが一時停止した。


あたしは金髪のタバコを取り、口に含んだ。

懐かしい味。



そして、金髪の顔に吹きかけてやった。








「俺」は「あたし」

「あたし」は「俺」

どちらも自分だけど
どちらも自分じゃない


少しだけ目を瞑る。


目を開けて
この教室を出たら
きっと「俺」に戻ってる。



あたしの上で腰を振っている男はどう利用してやろう。

まず、利用価値があるだろうか。

もしなかった場合は
計画を早めないと。