目を疑った。
だから、家以外ではこの話をしたくなかったのに。
「なあーに驚いてんの?なっちゃん」
まさかこいつが聞いていたとは。
「さっきは知らなくてさあ〜。ホッペ痛かったでしょ?」
気持ち悪いほど暖かい手が殴られたほうの頬を触る。
だが、その手を振り払うことができない。
振り払ってしまったら、こいつに何をされるかわからない。
・・・金髪に
「そんな怯えないで!まだ、言いふらすなんて言ってないじゃん〜・・・なっちゃんが女だなんてさ?」
ああ。悪魔みたいな笑顔とはこういうことを言うのか。
心臓がバクバクうるさい。痛い。
だから、知られてはいけなかった。
知ってしまったら、無償で協力してくれる奴はここにはいない。
ここまで来たのに・・・
「何を・・・すればいい」
「じゃあ、とりあえず事情を説明してもらえるよね?二人きりになれるとこ行こう」
「わかった」