「本当に・・・でも、こんなやり方がうまくいくなんてね」

「どういう意味?」

「普通、女が男子校に入り混むなんてやり方はありえないのよ?」


「わかってる。だから、1年かけて準備した」

「留年までして・・・」

姉には感謝してる。姉がいなければ、こんなやり方がこんなにもスムーズにはいかなかっただろう。


「夏、あんたはよかったの?髪の毛も切って、あんなに華奢だった体格まで変えて・・・」

「こうでもしなきゃ一発でバレるよ。ただでさえ、ここにはゴツいやつがたくさんいるんだ。全然足りないくらいだよ」

「まあ、とりあえず気をつけなさい!くれぐれも女と悟られないようにね!」

姉さんは大声を出して、俺の背中を思いっきり叩いた。

金髪よりも痛い。

「ありがとう。感謝してるよ。でも、姉さん、そういうことは外では控えてくれるかな・・・失礼します。校長先生」

パタンッ

扉を閉める音が校長室に響く。




「まったく・・・女の一番楽しい時を捨ててまでこんな地獄に来るなんて・・・あんたのせいよ、冬樹」