アルフリードがドアを開け、そして閉める。
クローゼットからドレスやら何やら一式を取り出すとベッドに寝転がる私を起こし、着せる。
言っただろう、慣れた、と。
物心付いたときからこいつが側にいた。
私が8歳、こいつが19のときからになる。
今さら恥じらえと言う方が無理な話だ。
「失礼致します」
アルフリードが寝間着のボタンを外す。
「いつ見ても姫様の肌は綺麗にございますね」
手を止めないまま発する言葉はお世辞なのか本心なのか。
「お世辞はいい。それに姫様じゃない。リルネインだ」
「失礼致しました、リルネイン様」
薔薇があしらわれたピンクのドレスに、同じ色の髪飾り。
胸元に光るターコイズは、王家の証だ。
…ドレスを見るたび、着るたびに胃がムカムカしてくる。
気に食わない。
寝間着以外の他の服は着たことがないが、これよりはマシだろう。
私の目つきが無意識に悪くなっていたらしくアルフリードが、
「そのような怖い顔をされては美人が台無しですよ」
ドレスの裾を整えながら上目遣いでしかも微笑んで言ってくる。
…本当に行動の一つ一つが癪に障る!