私の名前は美桜。
私が生まれた日に、病室からとってもきれいに咲いた桜が見えたらしい。
「だから、美しい桜ってかいて、美桜って名づけたんだよ。」
って、父がよく話してた。

私は去年の春、学校を卒業して、小さいころからの夢だった「保育士」の仕事に就いた。
子どもたちは無条件にかわいいけど、先輩保育士たちからの軽いいじめや、保護者たちから異様なほどのプレッシャーでいっぱいいっぱいだった。

いつもそんな私を癒してくれるのは、最近一緒に暮らし始めた3こ上の彼氏、
弘人。
ひろが私が借りていた部屋に転がり込んできたんだけどね。
ひろは、いっつも私の愚痴を聞きながら、
「あんまりムリすんな。
みーは仕事辞めて、オレの子ども生んでずっとオレそばにいればイイよ。」
って私の頭をくしゃくしゃって撫でてくれる。

ひろとは友だちの紹介で知り合った。
コンパってやつ。
仲間の前では偉そうに私のことを「美桜。」って呼ぶくせに、2人きりになると「みー」って甘えた声で呼んでくるひろをすごい好きだった。
信じてた。
ひろと結婚して、ひろの赤ちゃんを育てて、ずーっとひろと一緒にいたいと思っていた。