「悪い。クラスの奴に掴まってて、抜け出せなくて。

お前が俺のこと探してたって光から聞いたから」



やっぱり、女の子たちからお菓子もらってたの?



ちょっとショックを受けながらも、その気持ちを隠して、ううんと首を横に振り口元に笑みを作る。



「あ~! もしかして、噂のヒロ君!?」



見ると、大翔君を指差して近付いてくるさっきの男子生徒。



その彼に、いきなり名前を呼ばれて不機嫌そうな顔を向ける大翔君。



「誰だ、こいつ……」



独り言で呟いたのかもしれないけど、私も知らないから答えることができない。



「どうも~、はじめまして。
今年の校内イケメンランキングで1位のヒロ君に負けた、3年の麻生零央(あそうれお)です。

写真でしか見たことなかったけど、人気あるのも頷けるイケメンぶりだね」



この人、3年生ってことは先輩!?



校内イケメンランキングなんて、この学校にあるんだ……、知らなかった。



「どうも……」



ペコッと軽く頭を下げた大翔君を見て、あまりの反応の薄さに笑いだす麻生先輩。