「お前が自慢げに言うな。
ほら、手が止まってる」
大翔君に早くと急かされて、持っていた泡立て器で生クリームを泡立て始めた宮内君。
一緒のグループの子が羨ましいな……なんて見ていたら、
「羨ましいんでしょ~」
ふ~っと耳に息を吹きかけられた。
「ひゃっ……!?」
耳を手で押さえて振り向くと、型に生地を流し終えた栞が私にちょっかいをかけてくる。
「料理できるオトコはポイント高いからな~。
彼女がいるってわかってても、狙ってる女は数えきれないほど」
そうなのです。
栞の言う通り、大翔君の人気は相変わらず……というか、それ以上で。
普通にしててもカッコイイのに、料理が得意ってわかったら今よりもっと人気出ちゃうよね。
私しか知らないことだったのに、そのことを他の子たちが知ってしまうのは、何だか複雑。
「イケメンを彼氏にもつと、苦労が絶えないね。
でもさ、自信持ちなよ。
松っちゃんは、まりやが思ってる以上に、あんたにベタ惚れなんだから」