礼を言った俺に、米倉は大きい目をまん丸にしていた。
「なぁ、光の奴……変なところなかった?」
「ヒカりん? 別に、いつもと同じで軽いけど」
何だかんだ言いながら、仲が良い米倉なら、何か気付いてるかと思ったんだけど……。
「ヒカりんがどうかした?」
「いや、何でもない」
首を傾げて俺を見ていた米倉は、家の手伝いがあるからと帰って行った。
やっぱ俺の気にしすぎか。
何かあるならそのうちに話してくれるだろうと思い、昇降口で靴を履き換え校舎を出る。
校門に向かっていると、数人の生徒がその周りに立ち止まっていた。
何だと思い俺も近付くと、他校の制服に身を包んだ女子が校門から中を覗いていた。
「ねぇ、キミどこの高校? 誰か待ってるの?」
いかにも遊んでそうな奴らが、その女子に声をかけていた。