ここで無視すると「薄情者」とか「親友を見捨てるなんて人の心はないのか」とか散々言われそうだし。
気が重くなるのを感じながら、スマホを耳にあてる。
「光? 何か用……」
『……大翔待ってたよ。
お前はオレを見捨てないって信じてた』
「あー、かけて早々悪いけど、切っていい?」
毎度のことながら、普通に電話に出られない光に、やっぱり面倒になる。
『いやいや~! そんな照れることないでしょ~。
オレの声聞きたかったくせに』
面白がって茶化す光に、マジで切ってやろうかと思い始める。
「お前の色気も何もない声聞いて、誰が嬉しくなるんだよ。
用がないなら本当に切るぞ?」
濡れたままの髪をタオルで拭きながら言うと、突然静かになった光。
「光? 聞いてんの?」
『あ、うん。聞こえてるって~。
せっかくかけてもらったのに悪いけど、オレ眠くなっちゃったから寝るね』
「はぁ? お前ふざけてんのか」