俺の言葉で咄嗟に振り向いたまりやは、目を丸くして俺を見る。
「犬と猫ならどっちが好きって質問だったのに、それじゃ答えになってないよ。
それに、私は動物じゃないもん」
ちょっと拗ねてるそんな顔も可愛くて仕方ない。
動物って意味で言ったんじゃないんだけど。
「俺はどっちも好きだけど、猫の方が好きかな。
でも、いちばん好きなのは……」
拗ねていたはずのまりやは、俺の言ったことの続きが気になるのか、チラチラと目を向けてくる。
わざと顔を覗き込むように目線を合わせると、慌ててまたフイッと顔を横に向けてしまう。
その反応が堪らなくて、意地悪したい気持ちを抑えつつ、まりやの手を握る。
「いつか、飼いたいよな。2人で」
ケースの中で仔猫同士が無邪気にじゃれあう姿に目を細めて、言ってみる。
「うん、私もいつか飼ってみたい」
見ると、ほんのりと頬を染めて、“いつか”を想像してふんわりと嬉しそうに笑うまりやがいた。