大翔君とデートの約束をした翌週の金曜日。



私は、栞と一緒に学校帰りにショッピングモールに来ていた。



「おっし! さて、どこから攻める?」



両手を腰に当てて、3階の吹き抜け前からグルリと専門店街を見回す栞。



買い物に来た私よりも気合いが入ってるようで、私は少しだけ苦笑い。



「どこからでもいいよ?」



特にここがいいと決めてたわけじゃなかったから、迷いながら答えるとズイッと顔を近付けられる。



「ま~り~や~」



声を震わせて名前を呼んでくる栞に、若干だけど後退りする。



「な、なに……」



「明日は決戦の日なんだぞ。

今日はそれに備えて、ここに来たってこと忘れてないだろうな~」



さらにズンズンと近付いてくる栞に、ストップと顔の前に両手で壁を作る。



決戦じゃなくて、デートなんだけど……。



あはは、と誤魔化すように笑って、栞から一歩距離を置く。