「今から、ちゃんと言うからね?」



前置きしてくるまりやに、さっきから笑ってばかりの俺。



「わ、笑わないで、ちゃんと聞いてっ」



「はいはい。わかりました」



可愛く怒ってくるまりやにも、笑みが漏れそうになるけど、真剣な顔して伝えようとしてくる緊張感が俺の中にも流れこんでくる。



どんなふうに誘ってくれるのかと、楽しみにしながら、その言葉を待つ。



「来週の土曜日……」



「うん」



「大翔君とお出かけしたいと思ってるんですが」



緊張しすぎてるせいなんだろうけど、言葉がガチガチに固くて笑いを堪えるのに必死。



「その……ご都合はいかがでしょうか……?」



一生懸命に伝えてくれる気持ちは、すっげぇ嬉しいんだけど……



もう、無理だと思った。



「はははっ! ご、ごめん。

ちょっとストップ……っ」



突然笑い出した俺に、ポカンとしながらも我に返ったまりやは「笑うなんてヒドイ!」と怒ってきた。