「誰かさんが寝坊してるみたいだったから、起こしにきたんだけど」
俺の言葉にハッと気付いて、部屋の時計を見る。
そして……。
「あ……! み、見ちゃダメっ。
髪の毛が爆発してるし、顔も洗ってないし、パジャマだし、とにかくダメ……!」
突然慌て始めたまりやは、寝起きの自分の姿を隠そうと必死になって、両手で顔を覆ってしまった。
一緒に住んで2ヶ月。
寝起きの姿も寝顔も、それに部屋着姿だってもう何度も見てるのに、恥ずかしがる理由が俺には分からない。
「ダメって言われると、人間見たくなるものだよな」
「えっ、やだ……」
俺が言うことにいちいち反応するまりやは、隠していた顔を両手の指の間から覗かせ、困った表情を向けてくる。
「どんな姿でも、俺にはお前が特別なんだから、気にしなくていいよ」
「本当にそう思ってる?
でもね、やっぱり好きな人の前では、少しでも可愛くいたいって……思うから、やっぱりダメ」
今度は枕を胸に抱き、そこに顔を埋めてしまった。