まりやの母さんと同時に、元気すぎる声が聞こえて、慌てて玄関に向かう。
そこには、帰ってくる予定のない母さんの姿が。
「な、なんで母さんがここに?」
「大翔〜!! なんだか見ない間にまたイイ男になったんじゃない!?
お父さんの仕事が軌道にのって落ちついてきたから、私だけ先に帰ってきたのよ」
抱き着いてこようとする母さんを手で制して、軽く避ける。
「ちょっと! 久しぶりの親子の抱擁なのに避けるなんて酷いじゃない!」
「高校生にもなって、母親と抱き合えるか。
恥ずかしいだろ、まったく。
ていうか、帰ってくるならちゃんと連絡しろよ」
「もう! あいかわず可愛いわね、あんたは。
サプライズに決まってるでしょ〜! 大成功よ♪」
あいかわずの母さんの無茶ぶりに俺が困っていると、見ていたまりやとまりやの両親が笑っていた。
「まーちゃん、長い間ごめんね。
無事に帰りました」
「まりや、長い間留守にしてごめんな」
まりやの母さんと父さんが久しぶりの親子の対面に頬を緩ませる。
まりやも口には一切出さなかったけど、やっぱり寂しかったみたいだった。
それから落ち着いた母さん達は、土産話をたくさんしてくれて、気が付いたらもう夜9時を回っていた。