泣いてる子供をあやすみたいにまりやを抱きしめていると、落ち着いてきたまりやが体を少しだけ離す。



「突然のことでびっくりしちゃって、大翔君を困らせちゃった。

ごめんなさい」



謝ってくるまりやが無理に笑っているのが痛いほどわかる。



そんな表情を見せられて、我慢できるほど俺はまだ大人じゃない。



こんな時どんなふうに伝えたらいいのかわからなくて、触れるだけのキスをまりやの唇に落とす。



それにちゃんと応えてくれるまりやが可愛くて、そっと唇を離した。



「早く大人になりたい……」



どうにもできないこのもどかしい気持ちにまりやを抱きしめて、顔を見られないように囁く。



俺はいまきっと、すげぇ情けない顔をしてると思うから。



そんなのカッコ悪くて、まりやに見せられない。



大人になりたいなんて子供染みたこと、思ったことなんて何年ぶりだろう。



それほど俺は、まりやのことを好きになってるんだと改めてまりやへの気持ちを再確認する。