でも、俺達はまだ高校生だから何も理由がないのに、一緒に暮らすことはできない。



俺だって、できることならまりやとずっと一緒にいたいと思う。



離れていた8年間を埋めるくらいにずっと。



だけど、そんな我が儘は通らない。



抱きしめた腕を緩めると、まりやの頬に両手を添えて見つめる。



涙で濡れた瞳は、戸惑いの色を宿して俺を見つめ返してくる。



「俺だってお前と離れるのは寂しいに決まってるだろ。

まりやとずっと一緒にいたいよ。

でもな、いつまでも一緒に住むことはできないってわかってるだろ?」



離れたくない気持ちをグッと堪えて、まりやに言い聞かせる。



「一緒に住めなくても、これからはずっと一緒だから。

お前の隣にずっといる。ひとりにはしない。

俺はどこにもいかないよ。まりやの側にいるから」



俺の言葉に瞬きを繰り返すまりやの目から雫がこぼれ落ちる。



長い睫毛を濡らして、頷きたくない気持ちを堪えながら頷き返してくれた。