「おばさん達帰ってくるんだな。
早めに帰れることになってよかったじゃん」
まだ放心状態のまりやに静かに声をかけると、いきなり俺に抱き着いてきた。
まるで我が儘を我慢する子供みたいに、力いっぱい強く。
「まりや……どうした?」
優しく背中に手を回して聞いてやる。
「大翔君との生活が終わっちゃう……っ」
震える声でそれだけ言ったまりやは、悲しそうに嫌だと首を横に振る。
いつかは来る同居生活の終わり。
本当なら2ヶ月の約束だったのに、おじさんの出張が延びたために4ヶ月になった。
2ヶ月前は寂しそうにしていても、こんなふうに嫌がることはなかったまりや。
「まりや……。寂しいのはわかるけど、いつかはこの生活の終わりが来るんだ。
それに、隣に住んでるんだし、寂しかったらいつでも会いにくるから」
「そうだけど……。
大翔君は寂しくないの? 私と離れること」
そんなの寂しいに決まってるだろ。