「ちょっとそれはヤバいんじゃないの……」



私達の様子を静かに見ていた麻生先輩が小さく漏らした声は、この場にいるみんなには聞こえていない。



「純礼!! お前自分で何してんのかわかってんの!?」



「あんた、なんでそんな平然と嘘がつけるわけ!?

こんなことしてどうしようって言うの!」



宮内君と栞が同時に篠原さんを責める。



それでも彼女は、反省するどころか。



「やだ……そんな怖い顔で怒らないでよ。

ヒロト君助けて」



ぎゅっと大翔君の腕を掴み、甘えた声でお願いした。



それを見た私は、激しく動揺していた。



大翔君と付き合ってるのは自分なのに、みんなの話してる声が遠くに聞こえていく。



「マジで!? やっぱこの超イケメンがあんたの彼氏!?」



「でも、付き合ってるって言う割にこの人達の雰囲気おかしくない?」



篠原さんの友達のひとりは気にも留めてない感じだけど、もうひとりの子は私達の様子がおかしいことにどうやら気付いたようだった。



「そう? 純礼がいきなり紹介したから驚いてるだけじゃないの?」



「でもさ……」



と、もうひとりの子が何かを言いかけた時だった。